A35 DATELUX

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A35 DATELUX
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本機はキヤノンで初めてのフラッシュ内蔵カメラ。フラッシュとの連動のためか、その前に発売されていたキヤノデートやデートマチックの電気シャッターではなく、露出計の針の振れを利用した機械式のプログラムシャッターが採用されていました。プログラムAE専用とはいえ、絞りとシャッター速度がファインダーで確認できるというのは使っていて安心感がありました。露出はかなり割り切っており、EV9(1/60秒F2.8)未満になるとシャッターがロックされ、撮影を続行したければフラッシュをONにせざるをえませんでした。そしてフラッシュをONにしてピントを合わせていると、今度はフラッシュの光の到達が厳しい距離(ISO100で約5m以上)になると再びシャッターがロックされてしまい、そうなると撮影を断念せざるをえませんでした。これは断固として失敗写真を撮らせまいという対策だったと思うのですが、撮影を断念せざるを得ないというのは今思うと少々行き過ぎの感じがします。ファミリーカメラとはいえ、これによって歯痒い思いをされた方も大勢いるのではないでしょうか?

このカメラは「CATS(キヤノン・オート・チューニング・システム)」により、使用するフィルムの感度と被写体までの距離によって絞りが自動的に調節される旨が「CANON CAMERA MUSEUM」や当時のMOOK等に書かれていましたが、これっていわゆるフラッシュマチックのこと?・・・少なくとも反応の早い受光素子を使って発光量そのものもコントロールしていたヤシカ・エレクトロ35GLや同GXとは違うようです。電池はフラッシュ用の単3型電池以外にボタン電池を2個使いますが、2個のうちの1個は測光用で、もう1個はデート用でした。そのためが電池ボックス内にはプラス極が2つあり、適当にスペーサーをはさんでH-D型の電池ボックスにLR44を入れていたminocatとしては、電池の位置を合わせるのがちょっぴり面倒でした。

minocatはこのカメラの写りを結構気に入っています。真っ黒で角張ったハードな外見とは違い、ニュートラルで以外と繊細。セイコーESFシャッターを採用したデートマチックの柔らかいボケに対し、爽やかな描写を見せる本機はお散歩撮影に適したカメラだと思いました。そう言えば、レンジファインダーを持つフラッシュ内臓カメラというのも本機以外にminocatは思い浮かびません。本機は「ナイター」というニックネームを持っていましたが、その後の「オートボーイ」のようにメジャーになることはありませんでした。

発売:1977年10月 / 当時価格:36,300円 / レンズ:CANON LENS 40mm F2.8(4群5枚)
シャッター:機械式プログラム(1/60秒F2.8〜1/320秒F20のプログラムAE)
受光素子:CdS / ピント合わせ:二重像合致式 / フラッシュ:あり(手動・ポップアップ・GN12)
電源:H-D型水銀電池×2(測光・デート用)+単3型電池×1(フラッシュ用)
サイズ:122×75×61mm / 重量:約540g