CANONET

ここは大きな文字サイズのページです。
標準サイズの文字でご覧になりたい方は こちらをクリック
CANONET
CANONET












クラカメファンなら誰でも知っているとおり、平均大卒初任給15,690円、牛乳16円、地下鉄初乗り25円という当時、2万円をきって発売されて大ブームを巻き起こしたカメラ。露出はシャッター速度優先AEを基本としてマニュアルも備える2モード。AEの機構は、露出計の針をカムがくわえこむことによって自動的に絞りが決まるという当時としてはオーソドックスな方式でした。マニュアル時には露出計関連の機構が解除されてしまうことから、マニュアルはあくまでもフラッシュ撮影用とし、通常はAEで・・・と、割り切られていたようです。フィルムの巻上げ+巻戻しはすべて底面で行うので、ご覧のように上面はとてもスッキリしていました。

トリガーレバーによるこのカメラの左手での巻上げは、カメラを横に構えた撮影では非常に快適ですが、いざ縦に構えるとちょっと??という感じでした。シャッターもボタンの位置が右の端に寄りすぎているのと、ストロークが長く重たいので、トータルで考えると決して感触の良いカメラとは言えません。写りはどちらかというとあっさりしていて可も無く不可も無くと言った感じですが、逆に言えば素直な写りとも言えました。ときたまハッとするような描写も見せてくれましたし、これはこれでなかなか良いレンズだと思いました。

このカメラは100万台以上売れた大ベストセラーカメラで、製造時期によってマイナーチェンジが行われていました。その中でも有名なのは、ファインダーの表示(前期は矢印が左右に動くだけだったものが、ファインダーブロックそのものをそっくり別物とし、中〜後期は絞り値が目盛られて針が左右に動くようになった)と、ISO感度の範囲(前〜中期=10〜200/後期=10〜400)の2つですが、ここではもっと小さくて無意味な変化について記します。下の写真は左が前期型、右が後期型です。前期型と後期型ではフィルム巻上げレバーの感触が違い、前期型は巻くと「ジジジジ・・・」といういかにも「巻いたぞ!」という感触があるのですが、後期型はそれが無く「スカ・・・」という感じでした。このジジジ・・・は実は単なる演出で、前期型にはギヤを引っ掻くパーツを付けていましたが、後期型では省略されてそれがありません。
絞り羽根の形状も微妙に変化していました。上の写真は共にF8に絞った状態ですが、左の前期型の方が羽根の幅が広いのがわかります。鏡胴の真鍮も前期型の方がわずかに肉厚でした。

発売:1961年1月 / 当時価格:18,800円 / レンズ:CANON LENS SE 45mm F1.9(4群5枚)
シャッター:COPAL SV(B・1秒〜1/500秒のシャッター速度優先AE/マニュアル)
受光素子:セレン / ピント合わせ:二重像合致式 / フラッシュ:なし / 電源:不要
サイズ:140×78×64mm / 重量:約700g