35-SE

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新宿の中古カメラショップでセルフタイマー以外は完動の固体を発見(珍しくジャンク棚ではなかった!)。外見的にはかなりくたびれていましたが、思いの外安かったので連れて帰りました。このカメラはセレン式の連動露出計を内蔵し、トップにあるメーターを見ながら露出を合わせるようになっていました。更に一定の露光量を保ったまま絞りとシャッター速度の組合せを変えられるLV方式を採用。シチズンMLTシャッターを採用し、レンズシャッターとしては初めて1/1000秒を達成したカメラでした。
ご覧のようにこのカメラはスタイルにも特徴がありました。まず、鏡胴を取り囲む逆Ω型の金属部分がデザイン上のポイント。操作系でも、フィルム巻上げレバーが底面にあり、右手で巻上げるようになっていました。同じ底面巻上げでもキヤノネットは左手ですが、minocatとしては横位置に構えたときは左手、縦位置に構えたときは右手の方が操作しやすく感じるので、両者の操作性は一長一短だと思いました。フィルムの巻戻しクランクは左肩の側面にあり、そのために内部でギヤを45度に噛み合わせていました。更に、このカメラは鏡胴ではなく、背面のダイヤルでピント調節を行ないました。このピント調節はダイヤルに連動して鏡胴全体がそっくり前後するというものですが、メーカーではこれを「リモートフォーカシング」と呼んでいました。上面にある回転盤は被写界深度目盛で、前後する鏡胴に合わせて回転し、ピントの合う範囲が示されました。

このカメラは、minocatの印象としては我が家に居る他のフジカのカメラ達に比べて色が誇張されることなく、最も素直な写りに感じました。本来はこれが自然なのでしょうが、かえって大人しく感じました。しかし、やはりまだ“カメラ=高級品”であった時代のものだけあって、どことなく写りに“貫禄”のようなものを感じたのはminocatの思い過ごしでしょうか? そう言えばファインダーもプリズムを使った贅沢なもので、掃除をするのに苦労しました。

発売:1959年12月 / 当時価格:25,500円 / レンズ:FUJINON 45mmF1.9(4群6枚)
シャッター:CITIZEN MLT(B・1〜1/1000秒) / 受光素子:セレン / ピント合わせ:二重像合致式
フラッシュ:なし / 電源:不要 / サイズ:138×95×87mm / 重量:約770g