HI-MATIC 9

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HI-MATIC 9
HI-MATIC 9

1963年に世界初のトップアイ(鏡胴の先端にCdSを配置)として登場した前作のハイマチック7は、セイコーシャLAシャッターにより、プログラムAEとマニュアルの2つの露出モードを持っていました。本機はこのハイマチック7をベースに、プログラムAEとマニュアルに加えてフラッシュマチック機構を内蔵したセイコーFLAシャッターを初めて採用し、レンズもF1.8からF1.7に、ほんのわずかですが明るくしたモデルでした。本機の他にセイコーFLAシャッターを採用したカメラとしてオリンパス35SPがありますが、当時としては小型な部類でスポット測光の搭載でも大いに話題になった35SPに比べて、ハイマチック7からあまり変わり映えのしない本機はかなり地味な存在に思えました。

このカメラは鏡胴の絞りとシャッター速度の両方を「A」にするとプログラムAE、それぞれを「A」からはずすとマニュアルになりました。いずれの場合もファインダーの中のEV値を表すメーターは機能するので、プログラムAEの場合は露出の過不足がわかりますし、マニュアルのときは適正EV値を確認しながら絞りとシャッター速度の組合せを決めることができました(鏡胴でもEV値を確認可能)。と、そこまではハイマチック7と同じですが、フラッシュ撮影の際は絞りリングの数値をフラッシュのガイドナンバーに合わせるだけで、フラッシュマチックによってフィルム感度と撮影距離に応じて自動で絞りがコントロールされました。前面のミノルタロゴの右下にある「EASY FLASH」とは、このフラッシュマチックによって面倒だった絞り値の算出から開放されたことを表していました。

このカメラを実際に試した印象ですが、実はセイコーFLAシャッターを使ったカメラ特有の重たいギクシャクした感触に興醒めしてしまいました。minocatの家にいる同じシャッターを使ったオリンパス35UCも同様なので、この個体だけの欠陥ではなく、恐らくこのシャッターはすべてこうだったのでしょう。写りの印象もオリンパス35UCと同様で、どう考えてもこのギクシャクしたシャッターの感触が悪い影響を及ぼしているとしか思えない、パッとしない写りのカットがかなりありました。同じROKKOR-PF 45mmF1.7を登載したカメラでも、この後に発売されたハイマチック11の方がシャッターの感触も良く、写りも断然綺麗に思えました。

発売:1966年3月 / 当時価格:24,800円 / レンズ:ROKKOR-PF 45mmF1.7(5群6枚)
シャッター:SEIKO FLA(B・1〜1/500秒(プログラムAEは1/15秒F1.7〜1/250秒F22))
受光素子:CdS / ピント合わせ:二重像合致式 / フラッシュ:なし
電源:H-D型水銀電池 ×1 / サイズ:140×82×74mm / 重量:約760g