MINOLTINA-S

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MINOLTINA-S
MINOLTINA-S

1960年代前半、ハーフサイズに対してフルサイズの35mmカメラは、距離計やセレンによる露出計の内臓によってどんどん大型化していきました。そしてその反省から、小型軽量をコンセプトとして生まれたのがリコーのオートショットと、ミノルタのミノルチナシリーズだったと言えるでしょう。そのミノルチナシリーズにおいて、38mmF2.8の前玉回転による目測ピント合わせのミノルチナPに対し、40mmF1.8の大口径レンズと連動距離計を搭載したスペックアップバージョンが、このミノルチナSでした(この2機は似ていますがボディそのものが全く違いました)。

当時のハーフサイズカメラと比べてもボディが薄く、背面にあるフィルム巻上げレバー、突起の小さいシャッターボタン等、小型化のための工夫がなされていました。発売当時、本機はこのクラスのレンズを搭載するカメラの中では当然のことながら最も小さいものでした。また、正面から見たときに貼り革が少なく、金属部分が多いデザインも当時としてはモダンな感覚だったようです(リコー・オートショットも同様)。露出は上面の連動メーターを見ながらシャッター速度と絞りを調節する完全なマニュアル機。この固体はメーターが生きていましたが、半信半疑で使ってみたところかなり信用できるものでした。

ミノルチナSとキヤノン・デミEE17(ハーフ)の大きさの比較
デミEE17はミノルチナSの5年後の発売

このカメラの写りには、まったく文句のつけようがありませんでした。初めて撮ったネガをスキャンした時、正直言って震えてしまいました。特に明るい屋外よりも、室内または夕暮れ時といった、どちらかと言うと暗い場所(時)での、シャープで息を呑むほどリアルな写りは絶品でした。ハイマチックシリーズに対して非常に地味な存在でしたが、スリム&コンパクトなスタイルと抜群の写りの良さから、minocatの超お気に入りでした。

発売:1964年11月 / 当時価格:19,000円 / レンズ:ROKKOR-QF 40mmF1.8(4群6枚)
シャッター:SEIKOSHA SLV(B・1〜1/500秒) / 受光素子:セレン
ピント合わせ:二重像合致式 / フラッシュ:なし / 電源:不要
サイズ:128×74×60mm / 重量:約540g